不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター共通目標
| 大項目 |
中項目 |
小項目 |
| 生殖医療に関する基礎的知識を有している |
*各項目について説明できる |
| 全般 |
正常月経周期における内分泌的変化 |
| 正常月経周期における卵巣の形態的変化 |
| 正常月経周期における子宮内膜の形態的変化 |
| 正常月経周期における子宮頚管粘液の変化 |
| 初経と閉経 |
| 精子が作られるまで |
| 射精 |
| 性行為によって起こる身体の変化 |
| 妊娠の成立機序 |
| 妊娠中に起こる母体と胎児の変化 |
| 分娩 |
| 新生児 |
| 産褥期 |
| 遺伝の基礎(染色体、DNA) |
| 間脳・視床下部 |
間脳・視床下部の位置と構造 |
| 間脳・視床下部から分泌されるホルモンとその働き |
| 卵巣 |
卵巣の位置や大きさ |
| 卵巣の構造 |
| (卵胞/卵胞液/卵丘/顆粒膜細胞/莢膜細胞) |
| 卵子の成熟過程 |
| (減数分裂/極体/第一減数分裂、第二減数分裂) |
| 卵巣から分泌されるホルモン、卵巣のどこから分泌されるか |
| 卵管 |
卵管の機能 |
| (精子の輸送/卵子のpick-up/受精の場/受精卵の輸送/受精卵発育の場) |
| 卵管の形態と名称 |
| 子宮 |
子宮の位置(前屈、後屈を含む)や大きさ |
| 子宮の構造(漿膜、筋層、内膜、体部、頚部、子宮腟部、子宮頚管、内子宮口、外子宮口) |
| 受精卵の着床 |
| (卵胞ホルモン・黄体ホルモンによる内膜の肥厚と変化/胚盤胞からhatchingし子宮内膜へ接着し埋没する) |
| 腟 |
構造と機能 |
| 受精と胚の発育 |
受精から胚盤胞/hatchingまでの胚の発育 |
| 着床 |
着床のメカニズム |
| 陰茎 |
構造と機能 |
| 精巣 |
精巣の構造 |
| 精子の成熟過程(減数分裂)、卵子の減数分裂との違い |
| 精巣上体、精管、精嚢、前立腺 |
構造と機能 |
| 精子 |
capacitation、acrosome reaction |
| 精子の構造(頭部、体部、尾部)と機能(頭部、大部、尾部の働きや先体反応) |
| WHOの精液検査の正常値 |
| evidenceに基づく不妊治療の基礎知識を有している |
*各項目について説明できる |
| 全般 |
妊娠に当たってカップルに情報提供すべき事柄 |
| 妊娠前に確認が勧められること(風疹抗体、がん検診、性行為感染症、喫煙、飲酒、葉酸の服用) |
| 妊娠しやすい時期、性交間隔 |
| 妊娠率、累積妊娠率 |
| 若い健康なカップルの妊娠率、累積妊娠率 |
| 不妊症の定義 |
| 不妊症の頻度 |
| 不妊の基本的な検査の種類と方法 |
| (基礎体温、経膣超音波、子宮卵管造影、フーナーテスト、精液検査、ホルモン検査) |
| 不妊の診断 |
| (基本検査から診断できること) |
| 不妊治療の方法と効果、リスク |
| (タイミング法、排卵誘発、人工授精、体外受精、顕微授精) |
| (疾患・病態) |
| 不妊原因 |
不妊原因とその割合 |
| (男性因子、受精因子、女性因子;排卵因子、卵管因子、頸管因子、着床因子) |
| 生活習慣 |
肥満、やせ、STD、たばこ、過労、飲酒などの影響、これを回避する方法 |
| 女性年齢と妊娠率 |
不妊に対する女性年齢の関与、重要性 |
| 年齢別の妊娠率、流産率 |
| 卵巣予備能の評価法(FSH基礎値、E2基礎値、AFC,AMH:抗ミュラ-管ホルモン) |
| 男性年齢と妊娠率 |
不妊に対する男性年齢の関与、重要性 |
| 排卵障害 |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 多のう胞性卵巣症候群(PCOS) |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 体重減少性無月経 |
病態、鑑別診断、治療 |
| 高プロラクチン血症 |
病態、治療 |
| 甲状腺機能と排卵障害 |
病態、治療 |
| 肥満と無月経 |
関連原因、起こりやすい病態、治療、生活指導 |
| 原発性卵巣機能不全(早発閉経) |
病態 |
| 卵管閉鎖 |
閉塞部位別の病態 |
| 卵管周囲癒着 |
病態 |
| (クラミジア、淋菌、その他) |
| 性行為感染症(STD) |
原因、病態、治療、不妊との関連 |
| (クラミジア、淋菌、梅毒、尖圭コンジローマ、外陰ヘルペス、膣トリコモナス、HIV) |
| 子宮内膜症 |
原因、病態、鑑別診断、治療、不妊との関連 |
| 子宮筋腫 |
原因、病態、鑑別診断、治療、不妊との関連 |
| 子宮腺筋症 |
原因、病態、鑑別診断、治療、不妊との関連 |
| 子宮内腔の異常 |
原因、病態、治療 |
| 卵巣嚢腫 |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 黄体機能不全 |
原因、病態、治療 |
| 黄体化無排卵 |
|
| 頚管粘液分泌不全 |
原因、病態、治療 |
| 乏精子症 |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 無精子症 |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 精子無力症 |
原因、病態、治療 |
| 乏精子無力症 |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 奇形精子症 |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 逆行性射精 |
error |
| 性交障害 |
男性の性交障害、女性の性交障害 |
| 原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 性行為感染症(STIもしくはSTD) |
(クラミジア、淋菌、梅毒、尖圭コンジローマ、外陰ヘルペス、腟トリコモナス、HIV) |
| 染色体異常 |
頻度、種類、主な染色体異常(クラインフェルター症候群、ターナー症候群、ロバートソン転座、相互転座、逆位)の特徴。特に生殖との関係 |
| (検査) |
| 基礎体温 |
目的、方法、測定により予測できること、測定時の注意点 |
| 基礎体温測定による負担とストレス |
| 精液検査 |
目的、方法、診断、検査の時期、検査時の注意点(採取や提出の時、禁欲期間) |
| 精液検査に伴う男性の負担とストレスを理解する |
| WHOの精液検査の基準値 |
| ホルモン(基礎)値 |
目的、方法、診断、検査の時期 |
| (LH,FSH,PRL、エストラジオール、プロゲステロン、甲状腺ホルモン、テストステロン) |
| 高温相プロゲステロン検査 |
目的、方法、診断、検査の時期 |
| 子宮卵管造影検査 |
目的、方法、診断、検査の時期、副作用 |
| 卵管の検査に伴う痛みと不安について理解する |
| 性交後試験(フーナー試験) |
目的、方法、診断、検査の時期、検査時の注意点(性交渉後、診断に有効な時間) |
| 夫婦生活を指定されることに対する負担やストレス |
| 頚管粘液検査 |
目的、方法、診断、検査の時期 |
| 超音波検査 |
目的、方法、診断、検査の時期、検査時の注意点(排尿) |
| その他の検査 |
腹腔鏡検査 |
| 子宮鏡検査 |
| クラミジア抗原・抗体検査 |
| (治療) |
| 手術療法 |
卵管形成術の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 卵管鏡の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 腹腔鏡の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 精索静脈瘤の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 精路再建術の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 子宮筋腫核出術の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 卵巣嚢腫核出術の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| 子宮内膜症手術の目的、方法、成績、費用、副作用 |
| タイミング法 |
目的、方法、成績、次のステップを考える目安、限界 |
| 排卵誘発・(調節)卵巣刺激・ホルモン療法 |
目的、方法、効果、副作用(多胎、卵巣過剰刺激症候群:OHSS)。ゴナドトロピン製剤(hMG、urinary FSH、recFSH、hCG)、エストロゲン製剤、プロゲスチン、クロミフェン、シクロフェニル、Combined Hormonal Contraceptices:CHCs(他にOCs、COCsなどの呼称)、高プロラクトン血症治療薬、メトフォルミン、デキサメサゾンなどがおよそどんな目的でどのように使われるか |
| 人工授精 |
目的、方法、成績、次のステップを考える目安、限界、費用 |
| 体外受精 |
目的、方法、成績、リスク、費用、 |
| assisted hatching目的、方法、成績、リスク、費用 |
| 胚盤胞移植の目的、方法、成績、リスク、費用 |
| 顕微受精 |
目的、方法、成績、リスク、費用 |
| TESE-ICSI |
| 卵子・精子・配偶子の凍結 |
目的、方法、成績、リスク、費用 |
| 全胚凍結の目的、方法 |
| 養子縁組 |
具体的方法と問題点 |
| 法的規制と社会的リソース |
| 精子の提供 |
具体的方法と問題点 |
| 法的規制と社会的リソース |
| 卵子の提供 |
具体的方法と問題点 |
| 法的規制と社会的リソース |
| 代理母 |
具体的方法と問題点 |
| 治療後の妊娠と出産 |
| 自然流産 |
着床率 |
| 習慣流産 |
原因、病態、治療 |
| 2回の流産を反復流産と呼ぶことがある。 |
| 習慣流産の原因としての抗リン脂質抗体症候群 |
| 習慣流産の原因としての子宮奇形 |
| 習慣流産の原因としての両親のいずれかの染色体異常 |
| 習慣流産経験者が受けるストレス |
| 早産、子宮内胎児死亡、周産期死亡 |
原因、病態 |
| 不育症という考え方 |
|
| 人工流産 |
法律による規制(刑法、母体保護法) |
| 異所性妊娠(子宮外妊娠) |
原因、病態、鑑別診断、治療 |
| 多胎 |
頻度、転帰、合併症の頻度 |
| 先天異常 |
頻度、種類 |
| 染色体異常 |
頻度、種類、主な染色体異常(トリソミー21:ダウン症候群、トリソミー18、トリソミー13)の特徴 |
| 出生前診断 |
超音波検査による出生前検査で分かる胎児の病気 |
| 母体血清マーカー検査で何が分かるか |
| 羊水検査で分かる胎児の病気 |
| 新型出生前検査(NIPT)がおよそどのようなものか |
| 治療後の妊娠や出産で良くない結果になった場合 |
妊婦や家族の不安やストレスを理解する |
| 合併症を持つカップルの不妊治療の問題点、妊娠した場合の問題点、出産・育児の問題点や社会的状況や対策を理解している |
がん患者、てんかん、糖尿病、高血圧、うつ病など |
| 様々の個別の事情があるカップルの不妊治療の問題点、妊娠した場合の問題点、出産・育児の問題点や社会的状況や対策を理解しており、その知識を応用できる |
結婚年齢、出産年齢、出産数、合計特殊出生率、人口動態 |
我が国の推移、諸外国との比較 |
| 法律 |
|
| 環境要因 |
|
| 不妊患者の心理・社会的問題を理解している |
*各項目について理解している |
| 母性神話 |
結婚して初めて一人前という社会通念 |
| 結婚すれば子どもを産んで当たり前という社会通念 |
| アイデンティティの喪失・自尊感情の低下 |
概念、要因 |
| 身体的苦痛 |
治療に伴う痛みや副作用 |
| 経済的負担 |
各治療法の費用、保険の適応状態 |
| カップルのコミュニケーション |
治療に対する考え方の違い |
| セックスレス |
| 家庭、社会生活との葛藤 |
治療のスケジュールによる日常生活上の制約と仕事との両立の難しさ |
| 適切な医療情報の不足と不適切な医療情報の氾濫 |
*適切な医療情報の不足と不適切な医療情報の氾濫に対し、カップルが適切に対応できるように情報を発信することについて応用できる。 |
| 不足している情報を把握しそれを補う機会と能力をカップルが獲得するための援助 |
| 情報を伝える方法、ルートの開発と発展 |
| (自らの業務中、業務に係わるパンフレット、地域講演会、不妊学級、病院ニュース、インターネット、メール、手紙、電話など) |
| 不妊カップルの自立的決定を促すことができる |
*各項目について応用できる |
| 命倫理の基本的事項を理解している |
自立性の尊重、善行(「害をなさない」ことを善行に含める考え方と、善行とは独立させる考えがある)、公平 |
| インフォームド・コンセント |
概念・応用の仕方 |
| 自立性の尊重 |
概念・応用の仕方 |
| カウンセリング |
概念・応用の仕方 |
| 自助団体・ピアカウンセリング |
自助団体、ピアカウンセリングなどの社会的リソースの有用性や限界を理解しており、これらの団体と協力しながら、不妊カップルの自立的決定を促すことができる |
| Patient Centered Care(患者中心)の重要性を理解しており応用できる |
*各項目について理解している |
| Patient Centered Care(患者中心) |
概念・施設の中での自分の位置と役割・応用の仕方 |
| 医療事故防止 |
医療事故防止のための適切な対策の立案と実行 |
| 万一医療事故が起こった場合、被害を最小限にするために適切な対応策を迅速に立てることができる |
| 子どもの福祉 |
生殖医療技術の進歩と子どもの福祉の問題点 |
| 出自を知ることの重要性 |
| 情報の適切な伝え方を知っており、それを応用できる |
*各項目について理解している |
| 情報の評価 |
様々の情報の信頼性(evidenceの大きさ)、有用性、問題点を比較して評価できる。また、その評価の結果を不妊カップル(もしくは個人)やチーム医療を担う他のメンバーにわかりやすくかつ簡潔にそれを伝えることができる。 |
| 統計 |
統計に関する基本的な知識を持っている |
| (観察研究、介入研究、ランダム化比較対照試験、コーホート研究、検定、95%有意水準、平均、中央値、標準偏差、オッズ比、リスク比、感度、特異度、真陽性予測値) |
| 生殖医療の中で活用されている統計・応用の仕方 |
| (妊娠率、累積妊娠率、time needed to conceive、着床率、流産率、奇形率、治療成績、アンケート調査、心理テスト) |
| EBM |
定義・概念・応用の仕方 |